短歌の純響社

特別寄稿
(あなたの眼から流れでる)  
ポール・ワモ氏に
森川雅美

あなたの眼からながれでるしずかな脈どうがある
あなたの指からあふれだすしずかな鼓どうがある
きざまれていく時のはてにゆっくり背はとおのき
かたられる地じょうのためにやや音かいをずらし
はなれた街なみからとどけるいっつうの手がみと
むねを叩くリズムからいくつもの島じまがわかれ
いれかわりたちかわりあらわれ声になる人たちが
ちいさくたまる陽こうなのだから歩はばちぢめて
もっとおおきくいびつな弧をえがいて廻りつづけ
あなたの眼へとながれでるしずかな脈どうがある
あなたの指へとあふれだすしずかな鼓どうがある
とりはらわれる空のはずれでみぎ肩からかたむき
ゆらぐにち没のために眼のうちがわまでもはずし
うつむくほお骨からつづくそこしれない暗やみと
むねに叩くリズムからいくつもの島じまがわかれ
いれかわりたちかわりあらわれ声となる人たちが
うすくはがれる皮まくなのだから断めんとどめて
さらにとおくまでもひろがる視せんを紡ぎつづけ
あなたの眼までながれでるしずかな脈どうがある
あなたの指まであふれだすしずかな鼓どうがある
とぎれないけつ脈のはるかなぎょう列によろめき
うしなわれた食もつのためにちいさな手はきざし
とわれる呼きゅうからつぎたすつきない悲しみと
むねは叩くリズムからいくつもの島じまがわかれ
いれかわりたちかわりあらわれ声へなる人たちが
まだかわらない笑がおなのだからかた眼うずめて
からだのおくそこからぬくもる火をも灯しつづけ

森川雅美 詩人 詩誌販売ネット「44プロジェクト」代表。「あんど出版」主宰。
詩集に『山越』『くるぶしのふかい湖』『流れの地形』(ともに思潮社)。


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