誕生日

誕生日

 きょう16歳プラスαの誕生日を迎えた。そのαは余生っていうことで、思春期から自分がさほど成長しているとも思えない。けれど産まれてくるっていうのは、凄いことなんだろう。言い伝えによれば、血まみれの袋に包まれたまま夜明け前に、盥のなかに吐き出されたのが、わたしらしい。しばらく呼吸せず、死産かと思われた時、「とんとんとんとん、とんとんって、どこからともなく音がする」と産婆さんが呪文のように繰り返して、背中を叩くと、ようやく産声を発したのだという。父は嬉しくて万歳三唱をしたらしいが、その真意を確かめようもない。父はもうこの世にはいないから。ただ、父が焼かれて、その咽喉仏を拾った時、これが自分の生まれた時、万歳三唱をしてくれた咽喉なんだと思った。
 咽喉仏は笛の形をしていて、楽器のようだった。
 掌に載せれば、全世界のどこにでも鳴り響く咽喉仏・・・それはまた、とんとんとん、という音を籠らせているのだろう。

トラックバック&コメント

コメントをどうぞ