侍が負けた日

侍が負けた日

前健は宇宙の彼方に向かって投げている

すべての仕事をうっちゃって、18日午前10時から始まったWBC日本対プエルトリコ戦に見入ってしまった。たちあがり、すばらしい切れのある前田健太の変化球がストライクとして認められない。結果としてそれが勝敗を決めてしまった。ありえない判定の2フォアボールをきっかけとしとて、打ちそこないのタイムリーヒットによって、1点を失ってしまう。しかし前健のフォームの美しさは只者ではない。しなやかな身体のラインが、上半身マッチョのプエルトリコ選手の胸元を切り裂くさまは痛快だった。だから1失点で抑えられたのだ。前健の繊細な投球術は、南米人のおおざっぱなスゥイングを本来なら完璧に押さえられるはずなのだ。二番手の阪神エースの能美は2ランホームランを撃たれてしまったが、最初から危うかった。日本野球の下半身に強い選手の配球が念頭にあったので、胸元の強靭なプエルトリコ選手には、上半身に投げた直球を運ばれてしまったのだ。
 日本選手はスライダーのボール球をひっかけて、ゴロの飛球になるあたりが多かった。阿部ら主力選手の大振りが目立ち、負けるべくして負ける結果を招いたと。
 今、WBCに負けたのを東尾投手コーチが練習日にボートレース場に通ったりとか私的な活動が眼に余り、また投手起用もでたらめだったとかいわれているが、それは次元の違う話しだろう。(もとよりプロ集団だからコーチの個人的動向に左右されるはずはない。ガキじゃあるまいし)
 いちばん批判されているダブルスチールの采配にしろ、「選手の判断に任せた」という山本監督の準決勝の判断は、間違っていなかったと思う。それはこのシリーズが、そういう流れで来た事の直感的な判断だ。それが最悪の結果を招いてしまったとしても、そうすることがリーダーの判断としての必然だったからだ。結果オンリーだけで、この世は進まないのである。
 それはともかく、プエルトルコの選手の半端でない精神を讃えたい。かつて植民地だったカリブ海の島、プロの野球選手になることが大きなスターテスになることが可能になる国であり、多くの少年たちが野球に情熱を注いでいる。

  そのハングリー精神に、侍魂をかかげた驕りが、負けたのだ。

トラックバック&コメント

コメントをどうぞ